他のランキングに絶対載ってなさそうな2016年ベストBL

追記2:『このBLがやばい!』2017年度版読みました…。ちょっとあまりにもな結果でショックを受けています…。コオリオニもポルノグラファーも入っていると思って外したので……。もう本当にただの私の趣味丸出しランキングになっちゃったじゃねえか。どうしてくれんだこの逆方向にスベった感。
いやそれはそれとしてもやはりもう少し攻めてほしかったですね。少なくともコオリオニは取り上げるべきだったと思います。残念です。上位陣はもうレベルが違う域に達しているのは確かですが、こうもビッグタイトルばかりランクインしてしまうと新人さんが戦いにくい状況になってしまうのでは。そのあたりどうにかできないものかなあ。
いやでもランキング作ってる側には心中お察しします。ご自愛ください。
 
そしてAmazonリンクなど追加しました。ご活用ください(瞳孔開き気味)
 
追記:このBLがやばい!の発売日を勘違いしていて、このランキングの趣旨に反する後出しジャンケンになってしまいました。
言い訳くさいけどとりあえず筆者は読んでないので、どれだけランキングとズレているかを楽しんでいただこうと思います。
 
 
どーもどーも。はじめまして川野夏橙です。
 
ブログはじめようはじめようと思っていて色々ネタを考えていたんですけど、ずるずる始めなかったので〆切の関係上これが一番初めの記事になってしまったよ。
 
2016年ももう年の瀬ということで、今年発売された商業BLの中でマイベストランキングを発表します。ただ、普通にやっても他のランキングと被ってしまって面白くないので、他のランキングに載ってなさそうなやつで打線を組んで見ました。
 
何せ常々上司に「君の好きなBLは売れなさそうだよね〜」と言われている私。ケンカ売っとんのかいコラ。
じゃあ、あえて縛りを設けて、私が選んだ作品が他のランキングに載ってしまったらその作品を抽選で1名様にプレゼントしよう、と。
同僚に自分に厳しすぎない!?と言われたんですが、世にBLを広める伝道師としてこのくらいは当然です、ええ。ていうか私の好きなBLを世に広めたすぎるから。
 
ランキングは数ある中から権威ある「このBLがやばい!」のみを対象とします。(某サイトの方は自分が一枚噛んでるからチートになってしまうので)
 
というわけで早速ランキングを発表していきましょうー!
 
10位 さとまるまみ『先生、ためしてみますか?』 
表紙と中身が全然違う。それがこの作品の敗因。
いやいやいや、こういうのでいいんだよこういうので!
オリジナリティはあるけどアイデア一本じゃなく、本当に丁寧に作品を作っていることがうかがえる。読みやすく構成が考えられてて、ストレスフリーで読める。キャラもテンプレじゃなく可愛くて萌える。エロもある。こういう地に足つけたBLがもっと評価されるべきだよ!
たぶん、読んだらみんな気にいると思うんだけど、やはり表紙とアオリが違うなって感じ。
ふゅーじょんの編集は割とピーキーだなって思います。
 
9位 冬辺『第一倉庫にて』

 

 

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第一倉庫にて *3

 

 

またすごい絵柄の人が出てきたな、と。中村明日美子先生のテイストを引き継ぐ人が現れるとは思ってなかった。しかし全編点描使って描く人ほとんど初めて見たぞ。
中村明日美子系列に属しながら、さらにそこから新しい表現に広がっていきそうな可能性を感じますね。
ストーリーも個性的で面白い。坊主受けとか攻めてますねー。ただ表紙がやっぱりパンチ弱いし、中身と少しギャップがある気がするので、その辺うまいことプロデュースしていただきたい。
 
8位 中陸なか『たゆたう種子』

 

たゆたう種子 (アイズコミックス)

たゆたう種子 (アイズコミックス)

 

 

BLっぽくない話だなーと思いました。三角関係をきちんと描いたというか、三角関係がどういう関係なのかをきちんと描いたというべきかな。想いの方向性は真っ直ぐには進まなくて、曲がりくねりながら届く様子がすごく丁寧の描かれてて、何度でも読み返したいBLですな。
絵もすごく良くて、素朴な描線が作品に合っています。
 
7位 よつあし『僕のハイスペック彼氏様』
スーパー攻め様が受ける!とのアオリに胸打たれた人も多かったのでは。実際には包容力のあるスパダリ系の21世紀のスーパー攻め様で、みんなが期待してた20世紀のスーパー攻め様ではなかったわけですが、それでも良さしかない。
そんな目で見てくれから続くBLのお約束をネタにしたメタBLギャグを一歩進めてるなーと思いました。内容は誰でも楽しめるものでオメガバース苦手な人にもオススメ。
 
6位 つくも号『最果てのアムリタ』

 

最果てのアムリタ (マーブルコミックス)

最果てのアムリタ (マーブルコミックス)

 

 

これをBLに入れるかどうか議論あると思いますが、新宿紀伊国屋コミックス館ではアプレコミックスはBLコーナーだったのでまあ良いかなと。私にとっては初つくも号先生だったんですが、ゲイの知り合いから評判を聞いていたので結構ゲイゲイしいのかなと思ったら、そうでもない。
むしろBL読者さんも違和感なくいける感じだと思います。ストーリーが結構エロに寄ってても絵柄がかわいいから萌えがある。
最後の表題作は読後感も爽やかで切ない青春の一コマを描き出しています。
まさにBLとゲイマンガのハイブリッドといえる作品。ニューエイジですねー。
 
追記:アマゾンだとマーブルコミックス扱いになっているようです。謎。
 
 
5位 ウノハナ『海と二人の塩分濃度』

 

海と二人の塩分濃度 (ビーボーイコミックスデラックス)

海と二人の塩分濃度 (ビーボーイコミックスデラックス)

 

 

ウノハナ先生は、あまり目立つタイプの作家さんではないけれど、しっかりとした画力とストーリーテリング力を持った、実力派の作家さん。
もっと注目されろー!!!本当に安定して良いお話を出し続けているのでもっと評価されるべき…。だいたい何読んでも外れないから…。
今回の海と二人の塩分濃度は、今までよりもさらに趣味を押し出している感じがしてとても良いですね!若者×おっさんの組み合わせはヤマシタトモコ御大が生み出してからみんな大好きだと思うんですが、この作品もおっさんと青年の駆け引きやままならなさが、潮の匂いに乗って届いてきそうです。
デザインやアオリまで含めて完璧でした。良い編集さんがついているのでしょう。やはりビーボーイデラックスは信頼できる。
 
4位 はやりやまい『あさはらたそかれ』

 

あさはらたそかれ (H&C Comics ihr HertZシリーズ)

あさはらたそかれ (H&C Comics ihr HertZシリーズ)

 

 

今年一番萌えたかもしれない。
夜型ブロガーと朝練中の高校球児が明け方すれ違う、ただそれだけのところから始まって友人、そして恋人へ。その過程が本当にかわいいし、もだもだするし、朝靄の中の二人の空気感がとても良いんですよ。ガサガサした絵柄がよくマッチしている。
個人的にこういうタイプの話を「不思議な友情」BLと呼んでます。普段なら絶対友達にならなそうな二人が友達になって、そこから友情をはみ出していく系のBL。流行れ。
 
3位 kayama『未熟な楽園、或いは』

 

未熟な楽園、或いは (gateauコミックス)

未熟な楽園、或いは (gateauコミックス)

 

 

これはね、本当に良作なんですけど!まあ確かに超絶人気を得る!って作品ではないでしょうな〜。
うだつの上がらない撮影助手が家出した高校生を拾って連れ帰ってしまい、軟禁状態で生活を送る歪な二人の関係を描いています。
なんというか、ミニシアター系の映画を見ているようでとても空気感が好きなんです。世界から除外された人たちに光を当てているというか。あと部屋の小汚い描写とかがリアルでしたねー。これは映画好きの人に見てほしいな。
あとデザインが本当に好き。
 
2位 木村ヒデサト『鬼は笑うか』

 

鬼は笑うか (マーブルコミックス)

鬼は笑うか (マーブルコミックス)

 

 

木村先生はやはりすごい。個人的には、2016年最もクィアなBLと言っても良いのではないかと思います。クラスメイトの男の子に生理が来ているのでは?まさか彼は普通の男の子ではない?という、インターセックスを連想させるところから始まるんだけど、攻めの中の性の当たり前をどんどん破壊していくのが本当にすごい。そしてラスト、どん底まで落としてからのウルスパハピエンですね。まさに木村先生の十八番といってもいいのではないでしょうか。同性愛だから幸せになれないと見せかけて何もしてないのに気づいたら幸せになってました〜!という、こっちの予想すらもはるかに上回る超ハッピーエンドなんですよ。強い。本当に強い。
木村先生のBL「大丈夫だよ!絶対幸せになれるよ!」っていうメッセージが込められててとても好き。
 
1位 畠たかし『in August』

 

in August (マーブルコミックス)

in August (マーブルコミックス)

 

 

栄えある第一位に輝いたのは畠たかし先生「in August」。
今年1年で一番私が心を抉られたBLです。
2編の中編が収録されているのですが、1編目は自分のセクシュアリティがまだわからない大学生二人が、出会って擬似恋人関係になるお話です。一番抉られたセリフが、「セックスできれば俺も何かになれると思ってた」
もうね、このセリフBLで出て来るのすごいけど、すごくBLらしくない!?
すごくクリティカルなセリフだけど、BLだからこそ描ける部分かなって思います。
それから2編目は、旧友とお盆に田舎で再開する話。これも空気感と気だるげなエロスが素敵です。この話で注目したいのは、「日常の中にある恋愛」を描いたところですね。
日常系BLってもういっぱいあるじゃん?とお思いかもしれませんが、この話では恋愛が日常を凌駕しないんですよね。恋愛のことだけで頭がいっぱいにならずに、すぐ「あの仕事どうしたっけ」とか、そういう日常の雑多なことにすぐ気を取られてしまうところが新しい。恋愛が日常に回収されてしまうというか。でも恋愛ってそういうもんですよね。
それから畠先生はこれがデビューコミックスなんですが、絵柄がまた良い!色の塗り方も含めてちょっとレトロというか、80年代の都会的なイラストレーションを彷彿とさせるけど、それを今リバイバルするのが逆に新しいっていうのと、以前のにはなかった今の新しいテイストも入ってて、古いのに新しいっていうとても新鮮な絵柄だと思った。線もパッと見強弱がついた筆っぽいやわらかい線で、そういう80年代のイラストとか少年漫画とか彷彿とさせるんだけど、よく見るとデジタル絵の描き味があって面白い。

色々書いたけど総合的にとても良かった!

 
 
番外
ランキングに載ってそう、もう紹介するまでもないビッグタイトル、記事作成中に読んだなど理由で除外しましたが、今年ベストに入りそうなBL。
 
紀伊カンナ『雪の下のクオリア

 

雪の下のクオリア (H&C Comics CRAFTシリーズ)

雪の下のクオリア (H&C Comics CRAFTシリーズ)

 

神としか言いようがない。

 
日高ショーコ『憂鬱な朝7』

 

 この人なんでこんな話が描けるんや…?(号泣)

 
ヨネダコウ『囀る鳥は羽ばたかない4』

 

囀る鳥は羽ばたかない 4 初回限定小冊子付 (H&C Comics ihr HertZシリーズ)

囀る鳥は羽ばたかない 4 初回限定小冊子付 (H&C Comics ihr HertZシリーズ)

 

 もう圧倒されるしかない。

 
文乃ゆき『ひだまりが聴こえる 幸福論』

 

ひだまりが聴こえる-幸福論- (Canna Comics)

ひだまりが聴こえる-幸福論- (Canna Comics)

 

 前の巻よりもさらに踏み込んでいるので、このままガンガン行ってほしい。

 
梶本レイカ『コオリオニ』

 

コオリオニ(上) (BABYコミックス)

コオリオニ(上) (BABYコミックス)

 

 

 

コオリオニ(下) (BABYコミックス)

コオリオニ(下) (BABYコミックス)

 

 

何か重いもので頭をがんと殴られた感じです。
 
丸木戸マキ『ポルノグラファー』

 

ポルノグラファー (onBLUE comics)

ポルノグラファー (onBLUE comics)

 

 

良さ!!!!!!本当によく作りこまれています。期待の新人さんです。
 
早寝電灯『半壊の花』

 

半壊の花 (アイズコミックス)

半壊の花 (アイズコミックス)

 

 

同人で好きだった先生がテイストそのまま活かして商業に来てくれることほど嬉しいことはないよね。
 
番外2
電子マガジン『.Bloom』

 

.Bloom ドットブルーム vol.01 2016 SPRING (未分類)

.Bloom ドットブルーム vol.01 2016 SPRING (未分類)

 

 

 

.Bloom ドットブルーム vol.02 2016 Summer (未分類)

.Bloom ドットブルーム vol.02 2016 Summer (未分類)

 

 

 

.Bloom ドットブルーム vol.03 2016 Autumn (未分類)

.Bloom ドットブルーム vol.03 2016 Autumn (未分類)

 

 

comip.jp

『.Bloom』はホーム社の電子BLマガジンです。今3号まで出てます。
 
もはや全然関係ないけど、勝手に今年輝いてたBL賞をあげたい。
本当に何読んでも好きなやつしか載ってない。すごい。こんなにBL雑誌と趣味があったの初めて。コミックス出たら新刊ローラーする。

*1:Babyコミックス

*2:Babyコミックス

*3:Babyコミックス